詩(ポエム)
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少年の心
作: 青空のゆくえ
- カテゴリ:悲しみ
- 投稿日:'20年5月4日 12:57
- 表示回数:183回
- 総合評価:1
- この詩(ポエム)へのコメント:2件
山間の谷川のほとりに
ぽつんと立つ小さな廃校
遠い少年時代
幼友達と野球ごっこをして
遊んだグランド
あの頃のボクたちは
ルールも勝ち負けもどうでも良かった
透き通る青空
新緑の木々の香りを運んでくる風の下
ただボールを遠くへ飛ばし
白球を追いかけ
仲間たちと大声で笑い語り合う・・・
それだけで楽しかった
人生に無邪気な時期があるとしたら
ボクにとってのそれはきっとこの頃だった
のかも知れない
あれからボクは大人への階段を昇り
幾多の季節を重ねる中で
多くの挫折を受け入れてきた
群れの中で自分を守るために
時には他人(ひと)を傷つけ、嘘もつき
自分を裏切りもした・・・
いつしかボクは常に他人の表情を窺う
卑屈で弱い人間に成り下がってしまった
あの日見た青空は
いつしか低く垂れこめた
真冬の重い雲に支配された
そして長い年月を経てボクは
あの日のグランドに立っている
そこにはあの日の歓声も、友の姿も無い
あるのは静寂
あの日と変わらぬ谷川のせせらぎ
五月の柔らかな陽射しの下
そっと瞳を閉じてみる
遠くからあの日の歓声が聞こえてくる
友たちの笑顔がそこにある
高々と舞い上がったボール
突き上げる拳の先にいつか失った
青空のゆくえがそこにある
走馬灯のように甦る懐かしさ
もうあの日に戻ることも
友たちに会うこともできない
長い年月の中でボクの心は
余りにも汚(けが)れ過ぎてしまった・・・
こみ上げる複雑な想いが
熱いひとつの滴となって頬を伝い
乾いたグランドにこぼれ落ちた・・・
※この詩(ポエム)"少年の心"の著作権は青空のゆくえさんに属します。
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作者
青空のゆくえ さんのコメント
大人になることは、ある意味不幸なことかもしれませんね